自然の家では、2年前からデジタル技術を活用した野外活動の提供を試みています。
その開発理由の1つは、指導者支援を向上させるためです。
指導者の活動説明の部分をデジタル端末をつかうと、短時間でもれなく子どもたちに活動の説明を伝えることができ、子どもたちはそれを何度も見返すことができれば、子どもたちが活躍する時間が増え、指導者は再度の説明に追われることなく、子どもたちの活動の様子を「見取ること」がより可能になると考えました。
私たちが行う活動(キャンプやアクティビティ)には、「ねらい」があります。
「ねらい」は、指導者が考えた活動を通じて子どもにつけてほしい力です。その力を育むために適した活動や指導の手立てを指導者は一生懸命に考えます。
活動を通じて、子どもたちの気づきや学びが「ねらい」にどれだけ迫れているのか?
そこを高めることが指導者の重要な役割の1つと考えます。
それ故に、子どもたちが活動を通じて、どんなことに気づいたり、どんな力がついていこうとしているか、指導者は活動中の児童の様子(発語や態度など)を見取る余裕が必要です。
子どもたちは、「楽しかったー」と活動後の感想を発してくれますが、「楽しいことは 多くの場合必須条件」です。しかし、大切なのは、子どもたちが、どれくらい「ねらい」に迫っているのかです。
「活動中の子どもの変化の兆し」「潜在的な内面が態度や行動として表れている」それらの様子を見取ります。
次に「ふりかえり」で、指導者と子どもたちや、子ども同士で対話することで、子どもたちが自分なりに大切だと気づいたり、「ああ そうだったのか」と学びます。ここで気づいたり、学んだことが、子どもの意識となります。
そこからさらに、指導者との対話で子ども達が気づきや学んだことを、自分の普段の生活とつなげて考えてみることで、深い学びにつながると考えます。このことは、活動して学んだことを、異なる場面で経験を活かすことができる力となります。
指導者の見取りとふりかえりを支援するために、活動説明の部分をデジタル端末を活用し、指導者の負担を軽減する。そのために、尼崎市立美方高原自然の家では「カレーライスづくりアプリ」などの開発、提供、影響調査を、関西学院大学と共同で行っています。